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ソウルフードの系譜

「韓国の首都で食べられている料理のヒストリー」のハナシではない。

若いころ,名古屋の東のはずれにあった古びた寮に住んでいたことがある。
寮に賄いは用意されておらず,もっぱら共同炊事場で煮炊きした創作料理で糊口をしのいでいた。

(ごく稀に)先輩に外食へ連れ出してもらった際には,「世の中の料理はこうも美味しいものか」と感嘆したように記憶している。

なかでも一番印象に残ったのは,一度だけ連れて行ってもらった店で食べだシンプルならーめんである。
しかしながら,「美味しかった」との印象が残っているのにその店の名や立地などは全く思い出すことができない。

「山盛りのモヤシ」や「器の下の皿」等のキーワードをよすがにGoogle先生に伺ったところ,どうやらその店の名は『ラーメン藤』であるらしいということが判ってきた(京都にあるラーメン店のフランチャイジー)。

さらに同先生に訊いたところでは,名古屋にあったその店はずいぶん前に『藤一番』と『福』に分家され,今現在もそれぞれがチェーン展開して営業を続けているらしいとのことである。

そういった甘酸っぱい思い出を胸に秘め,新型コロナ対策を充分に行ったうえで名古屋へセンチメンタルジャーニーに出かけることとした。

まずは亀のマークのこちらの店へ。


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ふつうに美味しい。
でも,思い出のらーめんはこんな味だったっけかな。
そうであったような,ないような…。

調理していた人はもっと職人気質だったような気もするぞ(提供されるらーめんはもっとマスプロ感がなかったような気がするぞ)。


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続いて女の子のマークが特徴的なこちらの店へ。
向かうは『ラーメン藤』の名古屋での創業の地であったという十一屋店。

お,記憶の中の店舗の様子と目の前の風景が合致した!
提供されるらーめんに期待が高まる。


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まちがいない。
これが記憶の中のらーめんだ!


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懐かしの味に舌鼓を打ち,大満足のうちに店をあとにすることが出来た。

こうなると京都にあるという本家本元の『ラーメン藤』の存在がどうにも気になってくる。
さっそく西へ移動。


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聖地到着。


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暖簾をくぐっておもむろに一杯を注文。
店内の様子は『福』のそれとほぼ同一だ。


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目の前に提供されたらーめんの麺を手繰ってみる。
なるほどおいしい。
これが元祖,本店の味なのか。

思い出の味の源流を辿ることができ,大満足のうちに店をあとにした。

今回,関連する3店舗を巡って思ったことがある。
それはファウンダーの提供するプロダクツが必ずしも最上とは限らないということだ。

自分にとっては,元祖が提供するそれよりも若かりし頃に口にした一杯の方が美味しいと感じられる結果となった。

三つ子の魂百まで?
ちょっと違うか。
よく言われる「オリジナル盤よりも最初に聴いた指揮者の演奏が自分にとっての名盤となる」というクラシック音楽のロジックにあてはまるのかな。

果たして,これからもちょくちょく『福』へ出かけてみようと思うに至ったというハナシ。



by noritoyuka | 2020-03-24 02:41 | 料理 | Trackback | Comments(0)